西山スマイル介護職員や看護師の出会った、ちょっと感動するお話をお届けします。

　以前、担当していた一人暮らしの男性のことです。

　ご本人から、｢腰が痛くて掃除ができなくて困っている。俺は一生懸命働いてきたから、介護保険を使う権利がある。｣
と相談があり、私が男性のケアマネを担当することになりました。

　お酒が好きな方で、少し酔って事務所に自慢話や世間への愚痴を言いに来ることが何度かありました。

　担当して一年ほど経過したとき、｢サービス利用料のことで納得できないことがある！｣と連絡を頂き、
ご自宅へ説明に伺いました。やはり少し酔った様子でしたが、一時間ほど色々と説明していくと、
｢分かった！そういうことだったのか！忙しいところ呼び出して済まない｣とご理解頂くことができました。

　そして、そのあとに｢いやぁ、俺は酒がないと人にものを言えないんだ、気が弱いんだ。｣と照れくさそうに話されました。

　ご自身の本当の姿を伝えてくださってからは、辛いことや弱音をよくお話しして下さるようになり、
どのように暮らしていきたいのかよく分かるようになりました。

　ご自身の本音を聴けるようになると、支援も楽しくなると感じた出来事でした。

　１か月前、介護職員から「夏祭りをやりたいな」という一言から、「それいいね」「やってみよう」と賛同する声が
あり、８月に病棟で夏祭りを行うことができました。

　お祭りの雰囲気を感じて欲しい・懐かしい味を食べてもらいたいという思いから、「昭和レトロ」をテーマに行いました。

　病棟に、昭和レトロの看板やレコードなど懐かしい物を展示し、浴衣を着た職員とご利用者で盆踊りを踊りました。
踊れない方も楽しんで頂くために、プロジェクターで天井に映した花火を見て、楽しんでいただくことができました。
ご利用者からは、「花火なんて何年振りかね」など喜んでくださいました。

　懐かしいメニューとして、お好み焼き・枝豆豆腐・綿あめ・かき氷・冷やし甘酒・ノンアルビールを提供しました。
お好み焼きを食べて喜んでくださる方や、目の前で削るかき氷に感動されるご利用者が沢山いらっしゃいました。

　職員の一言から始まった夏祭りでしたが、病棟職員全員で取り組みました。
　なにより、制限の多いご利用者様の入所生活に「ホッ」と季節感を感じて頂くことができ、笑顔が増える瞬間でした。

　これからも、「生活の場」として、楽しみを提供できるイベントを継続していきたいと思えるイベントとなりました。

Ａ様:「☆$€二＊○〒☆-…??.」
私:「え？！何ですか？？」
Ａ様:「What ☆○＊→♪、？」　

何を言っているのかわからない時は、何となく、「ヘェ〜ホー凄いですね〜」と
相槌を打って微笑んでいます。これ、私の得意技です。
これで、結構乗り切れています。
しかし、A様は、繰り返し私に何か聞いてきました。

ん？日本語じゃないな！英語？
私:「おーYES YES！！」
相槌を打ってまたほほ笑みます。

答えを求めているA様、ご不満な表情になってきてしまいました。

私:「リピート？わんもわ〜、プリーズ？あっている？」
Ａ様:「What Time〜」

タイム！タイムか！わかったぞ！時間を聞いているのか！
流暢な英語すぎて分かりませんでした。

私:「スリーで〜す！」
指3本見せて、手の動きをしながら答えました。
Ａ様:「thank you !!」

A様は、満足されたようでとっても素敵な笑顔をみせてくれました。

それからというもの、Ａ様と時間を確認する英会話が日課となっています。
以前は入浴を拒んでいたＡ様ですが、
今では「ニューヨークへ行きましょう！」「今日はフロリダへ！」
とお誘いをすると、ご機嫌良く「風呂リダ」へ直行してくれます！！

ご親戚がハワイに居ることや、英会話が好きな事を話してくれました。

ご利用者の好きな事、得意な事、その人を沢山知ることで、会話のキャッチボールがスムーズになります。
私の得意技は、これだったと思いました。

13年目の慣れが生じて、要領よく受け応えしていた事に反省しました。

最近、英会話を学びながらのＡ様とのやりとりが楽しいです。

　私が、中学生の時に学校の行事で高齢者施設に訪問することがあり、そこでお話をした利用者様との関わり、それが「介護士を目指す」きっかけになりました。

　当時の自分は、「人のためになることをしたい」と考えていましたが、人のためになる仕事なんて数ある中、どの仕事をやりたいなんて考えていませんでした。そんな中、高齢者施設への見学へ参加しました。
　施設の様子を一通り見学し、利用者様とお話しをする時間がありました。お話しをした利用者様は声が小さく、難聴だったためお話しをするのも大変だった事を覚えています。
　お話しが終わり利用者様に挨拶をすると、笑顔で「ありがとう。また来てね。」と言って手を振ってくださいました。その言葉がとっても嬉しかったです。
　自分は、そこから大変そうな仕事だけど、利用者様と触れ合えるやりがいのある仕事だなと感じ、介護士を目指そうと思いました。

　小さなきっかけでしたが、自分にとって大きな出来事になりました。

　今、介護士として働き７年目になります。様々な利用者様と関り、大変だと思うことは何度もありますが、利用者様の見せてくれる「笑顔」や「感謝の言葉」で毎日頑張れています。

　今後も皆さまの役になれるよう、頑張ります。

　少し前のことですが、大好きな私の祖母が亡くなりました。おばあちゃん子だった私は、とても辛くてたくさん泣きました。

　その休み明けの日のことです。その日は、言葉遣いの荒いご利用者がいる階の担当でした。いつもはそこまで気にならないのですが、今日は暴言を言われてしまうと、気持ちが落ち込んでしまうかも・・・と思いながら、そのご利用者の居室に入りました。案の定「うるせえ！なんだよ！」と強い口調が。
　しかし、祖母が亡くなった話をすると「それは辛いな。俺も奥さんが亡くなった時は辛くて、最期顔も見れなかった。そういう時は泣けばいいんだ。」と。思わず涙がこぼれそうになりました。

　ご利用者様は、大きな声で暴言を言うことがあり、声かけに対しても強い口調で断られることもあります。正直、苦手に感じていました。けれども、よく見ていると他のご利用者の体調や行動を気にして職員に教えてくださることがあり、優しい一面もあることに気付きました。

　後日、私にかけて下さった言葉について、そのご利用者に話をしたところ「そんなこと言ったか？忘れたな。」と笑っておられました。
　ご利用者が忘れてしまっても、私はその日のことは絶対に忘れません。そして自分も同じように”気持ちの分かる親切“を心掛けて、ご利用者のケアを行っていきたいと思います。

　入所されているA様は、日に日に衰弱し目を閉じている時間が長く、発語も少なくなっている状態でしたが、A様ご本人とご家族の希望で、自宅へ外出する事になりました。

　外出中、A様はずっと目を閉じたままで目を開ける事はありませんでした。家にいた20分間は、なにかを行なうわけではなかったですが、家にいるということを実感してくれたのか、「穏やかな表情」で過ごされていました。

　外出後、発語がほとんどきかれなくなっていたA様でしたが、他界する数時間前の入浴時には「ありがとう」と言ってくれました。

　ご家族からも「本当に家に行く事ができて良かったです」とお言葉をいただきました。

　自宅での生活を支えていた居宅ケアマネからも、「ご家族がウエルケアに感謝していた」と伝言もいただくことができました。

　ご利用者・ご家族の意向にそえる事ができ、改めて介護の仕事をしていて良かったと思いました。

新しく入所されたご利用者は、右半身麻痺・嚥下障害があり、経管栄養を行っています。
失語症もあるため、ご家族からもあまり話せないと伺っていました。

ある日、言語聴覚士と一緒にリハビリで歌を歌っているご利用者を見る機会がありました。
私は、「ご家族にもこの様子を見ていただきたい」という思いになり、言語聴覚士に相談しました。
そして、ご家族の面会時に、言語聴覚士が撮影したご利用者のリハビリの様子を見ていただきました。
ご家族は「とても嬉しい、こんなことまでやってくれている」と喜ばれていました。
「前にいた病院では元気なさそうだったのに、表情も明るく元気な様子も見れて、本当に嬉しい。姉や弟にも見せたいのでこの動画をもらうことができないか？」の要望をいただき、リハビリ職員の協力でご家族に動画のデータをお渡しすることができました。

ご家族と一緒に情報共有ができたこと、ご利用者だけでなくご家族の嬉しそうなお顔を見ることも重要なことだと気付かされました。

　西山病院グループにケアマネジャーとして勤務し始めて半年。
　今まではリハビリ職員（作業療法士もしくはデイサービスの機能訓練員）として、３０年間ずっと肉体労働者だった。
膝を痛め、リハビリの仕事を辞めてケアマネジャーに転職することを告げると、以前の職場の同僚から口々に「ケアマネジャーになると太るよ」と言われ、心配された。事実、元々ケアマネジャーをしていたセンター長はあっという間に７㎏も太ったらしい。「ケアマネジャーの仕事は大変だ」とはよく聞くけれど、太るリスクもあるのか、と恐れおののきながら入職した西山病院グループ介護保険センター。半年間の結果は多分、おそらく、大目に見てまだ太っていない。（と思う）
　なんといっても西山の敷地は広い。職員駐車場から更衣室までもが朝晩ちょっとしたウォーキングコースだ。うれしい事に、山あり谷あり階段ありリハビリメニューを全部こなせるような充実ぶり。
　そして、口々に「こんにちは」と挨拶しあう職員の皆様。気を抜いてぼーっと歩いていたら挨拶に出遅れてしまう。そんなさわやかな緊張感を持って毎日を送ることができている。
　気が付けば、自分もご利用者・ご家族の年齢にどんどん追いついてきている。「気持ちのわかる親切」を心がけ、残り少なくなってきた仕事人生を大事に過ごしていきたい。

いつも、イベントやご利用者のご要望に合わせて手作りおやつを提供しています。
その日はクリスマスが近かったので「いちごパフェ」を提供することになりました。

いちごパフェを提供する直前、街のケーキ屋を特集した本を見つめているご利用者が目に入りました。
たまたま私もその本を持っており、嬉しくなってお声掛けしたところ「この本は時々見るの。でも最近は行けてないんだよね」とのこと。
「いろいろな想いを抱えている方がいるのだな」と思いながら、その方にもパフェを召し上がっていただきました。
すると、「今日はケーキ屋に来たみたいで嬉しい！」と言ってくださいました。
おやつを作った者としては嬉しいお言葉であり、「次は何を作ろうかな」と胸が弾む瞬間でした。

西山病院グループでは、さまざまな想いを抱えたご利用者が日々過ごされています。
「ご利用者の想いや要望に少しでも寄り添いたい」という思いで、私たちもおやつを作っています。
ご利用者に寄り添い、今後も管理栄養士として想いを形にしていけるよう日々取り組んでいきます。

４月に入園・進級した子どもたちも大きくなり、友達との関わりやできることが増え成長を感じます。

０歳児さんは、ハイハイをしていた子も立って歩けるようになりました。
お友達が泣いていると、頭を「よしよし」と優しくなでてくれる姿もあり、見ていてほっこりします。

１歳児さんは、お話が上手になり、ごっこ遊びができるようになりました。
「いらっしゃいませ～何にしますか？」「○○先生！」と、お友達や職員の名前を呼んで、公園でよくアイスクリーム屋さんごっこをしています。
「アイスください！」と言うと「はい、どうぞ！」と手渡してくれます。
「何味？」と聞くと「いちごアイス！」「メロンアイス！」と答え、色々なアイスを食べさせてくれます。

２歳児さんは、お友達に優しく教えてくれます。
ドアをドンドンしているお友達がいると「ドンドンしちゃダメだよ、壊れちゃうからね！」と伝え、「ママ～！」と泣いているお友達には「ママお仕事行っちゃったね、お迎え来てくれるから大丈夫だよ」と、励ましの言葉をかけてくれます。
職員も「そんなこと言えるようになったの！？」と驚くことばかりです。

これからも、子どもたちの健やかな成長を安全に見守っていきたいと思います。

育休を明けて復帰し、久しぶりに訪問したご利用者のお宅でのできごとです。

「お久しぶりです」とご挨拶すると、ご利用者は不思議そうな顔をされていましたが、少しすると「思い出した！」と、私について覚えていることを話してくださいました。
マスクが必須のこのご時世で、顔を認識しにくく、なかなか人を覚えにくい中で、エピソードだけで覚えていてくださったことが嬉しかったです。
「また来てくれると思わなかった。あなたが来てくれるのが楽しみ」と言ってくださり、自分が良いケアができていたのか自信はありませんが、少なくとも良い関係性を築くことができていたのかな、と感じました。

職場復帰して「仕事がうまくできるか」という不安を抱えていたときに、とても励みになるできごとでした。
良い介入をすることはもちろんですが、関係性を築くことの大切さや面白さを感じながら、日々のケアをしていきたいです。

西山病院に入院されたご利用者についてのお話です。
重度の飲み込みの障害で、点滴をされている方でした。召し上がることができても、ゼリー数口程度でした。
思うように食事することが難しく、「お腹がペコペコなんだけど･･････」「なぜ、ご飯が食べられないの？」と話され、悲しそうな顔をされる毎日。
言語聴覚士と協力し、入院１週間後より「口腔リハビリ」をスタートしました。
　　　　　
リハビリのおかげで、現在、大好きな果物や、ご家族からの「持ち込みの助六寿司・お土産のお饅頭」など、好きなものを好きなだけ召し上がることができています。
ご本人がお好きなものだと、必ず「おいしいから食べてみな～」とおっしゃりながらも、最後にはすべて召し上がってしまいます。そして、「あっ！全部食べちゃった」とお茶目な顔をされます。

ご家族からは「母は、こんなに大切にされ、食べたいものを食べられるようになって、幸せです」とうれしいお言葉をいただきました。
そのとき、「頑張ってよかった」と心から感じました。いつも、そのようなお言葉から、介入できたことの幸せな気持ち・仕事を楽しく頑張るエネルギーをもらっています。

先日、病棟職員・リハビリ課・栄養課の、思いやり・気遣い・協力などによって、入院されて二回目の「誕生日」を迎えることができ、笑顔で「レアチーズケーキ」を召し上がっていました。

　入職した頃のお話です。
　私はこれまで、異業種の仕事をしていました。商社に勤務し、営業の仕事に35年勤めました。その後、西山病院グループへ入社しました。
　前職では、営業という人との関わり合いのある仕事に携わり、お客様との人間関係を築いてきました。西山病院グループでは通所リハビリテーションに勤務し、ここでも人との関わり合いを持てる仕事に就くことができました。主に介護の仕事しています。
　入職当初は知識も経験もなく、いきなり飛び込んだ介護の仕事。本当に苦労の連続でした。入職前の面接の際、「介護の仕事を一言で表すと何ですか？」と問われた私は「利用者様との信頼関係」と答えたのを覚えています。

　それから早くも7年が経ちました。利用者様と何でも話し合える職員でありたいと常に考えて勤務しています。
　利用者様に思いっきり笑っていただき、楽しい時間を過ごしていただけるように心がけています。
　これからも利用者様から信頼の得られる職員でありたいです。

　他の病院から転院されてきたＯさんは、当院にいらした当初、右片麻痺のため体を思い通り動かせませんでした。また、失語症があるため、コミュニケーションも十分にとることができませんでした。
　少しずつリハビリをすすめていき、体調も整ってきたところで、看護師・介護職と協力し、昼食時に車椅子に乗っていただくことになりました。はじめは、Ｏさんは起きるのが嫌で、車椅子に乗ることに消極的でした。なんとか説得して車椅子に乗っていただいても、すぐに疲れてしまい、ベッドに戻りたいとおっしゃっていました。それでも、Ｏさんと相談しながらコツコツと続けていったところ、次第に体が慣れてきて、車椅子に乗ることに対して徐々に嫌がらなくなっていきました。
　先日、こちらの都合で２週間ほどお会いすることができませんでした。しかし、久しぶりにお会いした際に、「やっとこぶりだねー」と、笑顔で迎え入れてくださいました。その時、なんだかとてもうれしい気持ちになり、この仕事をやっていてよかったなーと、心から思うことができました。

　こういう小さな感動をみなさんにいただきながら、よりよいサービスを提供することができるように、日々仕事に向き合っていきたいと思います。

私は、緑多くのどかな田舎町に生まれました。
まだ小学生のとき、通学路を歩いていると、近所のご高齢の夫婦がいつも「子どもがいるっていいな。子どもは宝だ」と声をかけてくれました。
自分たち子どもは、血の繋がりのない人たちからも大切にされている存在だと感じていました。

その後、小学生のころの福祉体験がきっかけでこの仕事に就こうと、福祉の学校を卒業し、西山病院グループに就職しました。
「高齢者のためになろう」と毎日励んでいます。

先日熱中症のため、数日間お休みをすることがありました。
その前日、ある入居者様にお願い事をされていたので、復帰後すぐにその入居者様のところへうかがいました。
そして、お願いされていたことが遅れたことを謝罪しました。
熱中症のことを伝えると、その方は「私のことなんて忘れていいの！熱中症になるなんでよく働いている証拠よ」と優しく元気づけてくれました。
その一言で、近所にいたご高齢の夫婦のことがフラッシュバックし、不覚にも泣いてしまいそうでした。
私は今も変わらず、この年代の方に大事にされているのだと感じました。

様々な影響で他人との距離が遠くなるこの時代ですが、人を大事にする想いを受け継いでいきたいと思います。

ターミナルケアをしていたＡ様のご家族の「コロッケを食べさせてあげたい」。

そんな思いを叶えるため、管理栄養士・リハビリスタッフ・ケアマネジャー・看護師など多職種が連携・協力をしました。
コロッケをそのまま召し上がるのは困難なため、ジャガイモをペースト状にしソースをかけたものをご用意しました。
ご家族や看護師が介助をし、Ａ様に少しずつ召し上がっていただきました。
「いかがですか？」「おいしいですか？」の問いに、Ａ様は指で丸をつくるハンドサインをしてくださいました。
その時のご家族の笑顔はとても嬉しそうで、Ａ様の表情もキラキラしていました。
些細な量の食事です。しかし、本人の「食べたい気持ち」・ご家族の「食べてもらいたい気持ち」の両方が叶った瞬間は、職員にとっても嬉しいものでした。

職員一人では実施するのは困難でも、それぞれの職種が専門性を発揮して協力すれば、思いを叶えることができると分かった瞬間でした。今後のケアに活かせる、とても素晴らしいできごとです。
これからも、日々ご利用者の思いを叶えるにはどうしたら良いのかを職員一同で考えて行きたいと思います。

Ａ様がハイジの家に入居されたのは、一年半前のことです。

60歳まで飛行機の整備士、その後は別荘の管理人のお仕事をされていました。
アルツハイマー型認知症と糖尿病の疾患を持っていらっしゃいましたが、お話好きな方で、他の入居者様と親しくされていました。

しかし、一人で自由に外に出られないこと、お腹いっぱい食べられないことが不満なようでした。
「ここは、ルールが表示されていない！きちんと説明すべきだ！」と、職員に怒りをぶつけられることが多々あり、離棟されたこともありました。
お怒りになる度、説明させていただいきました。しかし、病気のためすぐに忘れてしまい、また怒りを覚えてしまうという日々でした。

ある日のことです。他の入居者様が排水口に義歯を落としてしまいました。
職員二人でパイプを外すことに苦戦していた時、Ａ様が「貸してごらん」と、声をかけてくださいました。
洗面台の下に寝転がってペンチを回し続け、見事、パイプが外れました。そのおかげで、無事に義歯を取り出すことが出来ました。
Ａ様は昔のご職業から、修理が得意だったのです。

今まで理屈っぽい、すぐに怒る方だと決めつけていたことを反省しました。
そして、得意としていることを引き出すケアをしていくことをＡ様から教えていただきました。
Ａ様は、ときどき怒ることもありますが、元気に過ごされています。

毎日入所者様と関わっていると、「テレビ電話ってどうやるの」「今日は○○を食べたいわ」と、いろいろなことをお願いされたり、聞かれたりします。
すぐに返事・対応が出来ない時は「確認してからお伝えしますね」「他の方に先に呼ばれているので、終わったら伺いますね」など声掛けをしています。

ある朝、食事前にA様から「『体内時計』って言葉は実在している？それとも職員さんの造語？」と質問がありました。
「体内時計」という言葉自体は知っていましたが、改めて質問されると、お答えができませんでした。
その入所者様は国語辞典を持参されていたので、「朝食が終わって落ち着いたら、Aさんの辞典で一緒に調べてみましょう」とお答えしました。

入所者様の朝食と介助が終わった後、A様の部屋へ「調べに来ました」と伺うと、A様は少し驚いた顔をされました。
そして、「こんな小さなことでも来てくれてあなたは偉いね」とおっしゃいました。
「入所者様に頼まれ、約束し、部屋に行く」という当たり前の事をしただけで、このようなお言葉をいただいて驚きましたが、とてもうれしかったです。

日々のささいな行動で、入所者様に感謝され、笑顔になる。介護の仕事をしていて改めてよかったなと思えた朝でした。

あるご夫婦の入院相談で、三女様が来院されました。
ご夫婦共にお体の状態が違い、必要な在宅サービスやタイミングが異なっており、三女様は実家へ泊まり込んでご夫婦の介護をされていました。

それでもやはり限界があり、どうしてもお二人の介護を続ける事が難しくなりご相談となりました。
今までの経過を聞き、ご夫婦とご家族にとって一番良い今後の方針を一緒に考え、申し込みとなりました。
最後に三女様より「本当に凄いお仕事ですね」と泣きながら感謝のお言葉をいただきました。一人ではなかなか答えの出せないご両親の介護について、人一倍悩み、頑張ってきた三女様に「安心しました」「今日お話ができて本当に良かった」と言っていただいたことに、私も力になれたことが嬉しくなりました。そして、「直接言っていただいて嬉しく、これからもっと頑張る気持ちが湧いてきます」とお伝えしました。

私たちが寄り添ってお話を聞く事で、こんなにも安心していただけること、「凄い仕事だ」と言って感謝していただけること。
やりがいでもあり、これからも一人ひとりに寄り添った対応を心がけようと感じました。

私が担当するＡ様はひとり暮らしで、認知面の低下が原因で、自宅でお風呂に入ることができませんでした。
ご家族が手伝う準備をしたり、ヘルパーの検討をしたり、試行錯誤をしましたが、Ａ様は「一人で入っているからいい」と強く拒否されました。

ご家族と私は、「何故入れないのか？」と入浴が出来ないことに対して悩んでいました。
西山の杜デイサービスへ利用の相談をすると……。
なんと、通い始めてから２回目にお風呂に入ることができたのです！

なぜ入ることが出来たのかうかがうと、今までは「恥ずかしい、見られたくない」という気持ちが強く拒否していたようでした。
西山の杜デイサービスでは、体を見られたくないという気持ちに寄り添って、体を隠すことができる専用のタオルを作ってくれたのです。
他にも、Ａ様が大好きな演歌を流し、好きな演歌歌手のお面をつけお風呂に誘ってくれたようでした。

お風呂に入ることばかり考えていた私は、Ａ様の気持ちに寄り添うことや、女性としての気持ちを大切にすることを学びました。