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西山スマイル介護職員や看護師の出会った、ちょっと感動するお話をお届けします。

2021.06.01願いを叶えるために~ご自宅でのお看取り~
看護師/M
 新型コロナウイルス感染拡大の中、昨年三月より当院でも面会制限が開始されました。直接会えないことは、ご利用者にもご家族にも大きなストレスを与えています。
 ご利用者のA様もまたご家族の面会をとても楽しみにされておられ、ご家族ともにお互いを大切に想われていらっしゃいました。
 今年のお正月、A様が「外泊したい」と希望されましたが、それを叶えることは難しい状態でした。
 そんな中、A様の意識レベルの低下がみられ、寝たきりそして看取りの状態となってしまったのです。
 ご家族は、面会が自由にできないのなら「最後は自宅で家族とともに過ごさせてあげたい」と自宅でのお看取りをご希望されました。しかし、A様は、喀痰吸引、オムツ交換、体位変換、口腔ケア…と介助量が非常に多いため、在宅介護を選択されることに私たち職員は戸惑いました。それでもきっとA様も同じ思いであろうと、決意されたご家族をサポートし、ぜひ叶えて差し上げたいと思いました。
 死期が迫る中、二週間後の退院を目標に急ピッチで退院準備を行うこととなりました。面会制限下では、退院指導にも日数と時間の制限があり、日程調整と指導の方法に苦労しました。しかし、指導のためにご家族が訪れると、毎回来られたことが分かり、柔和な顔をみせるA様を見て、ご家族の選択は間違っていないと思いました。
 短期間での訪問看護、訪問介護、訪問入浴、訪問診療、ベッドや吸引器、エアマットなどの物品準備の調整には、居宅ケアマネジャーと各在宅サービスの方々に本当にご尽力いただきました。
 退院当日も、一階のロビーでご家族と対面すると、A様が柔和なお顔をされていました。
 それからA様は、数日を自宅で過ごし、旅立たれたそうです。A様が大切に想っていた自宅で、ご家族に見守られながら最後を迎えられて本当に良かったです。私自身も今回の経験は、看護師としても施設ケアマネジャーとしても多くのことを学ばせていただきました。

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